そんな事を考えながら待っていると、玄関の開く音が気だるく聞こえてきた。

「ただいまー」
疲れが滲み出た、哲也の声。思わず、席を立ってそこまで会いに行く。
‘こんなに思ってるのに…'

「お帰り。遅かったね。寂しかった」
「仕方ないだろ、取引先と飲みに行ってたんだから」
「えー?!連絡くらい入れてよね〜。料理が無駄になったじゃない」
「あー、悪かったよ。今度から言うから今日は堪忍してくれよ。疲れてんだから」

‘またそれ…'
「……」

「良い番組してねーかなぁ?」
哲也は綾子の言う事に適当に答えて、彼女の心配を他所に自分の世界に入っている。毎日の事だが、つくづく[愛は永遠なんて、嘘だ]と思える。

この調子じゃ、単なる飯女だ。この先どうなるやら…