綾子は今日も彼の帰りを待って遅くまで起きている。

「哲也、遅いな…」
毎日の事ながら、最近は嫌気さえ射している。'自分は本当に彼を思っているのに届いているんだろうか'と…

さっきまでいた無音空間にテレビの電源が入る音。ちょうど点いた番組を無意識に聞く。[子宮活]。最近はそんな事まで言われるようになって来たとは…
綾子も哲也の子が産みたい。同棲して2年。お互いに仕事を片手間に時間を作っては一緒に過ごせる時間は過ごしていたが、未だ、結婚の話は持ち上がらない。最近、綾子は焦り始めていた。今、現在、綾子31歳。会社では中堅を任される年令にまで達していたが、体は安全に子どもを埋めるボーダーラインすれすれまで来ていた。
‘絶対に、今年中には結婚したい!'
綾子の願いだった。

しかし、そんな心配は男の哲也には分かるはずもなく、今日も変わらぬ時間を過ごしている。