「…ぇ、」
泣いてる…?
ゆっくり宏輔君の指が近づいてきたと思ったら、頬を伝っていた涙を掬われた。
「…っ」
「目の前に困ってる人や、辛そうな人…そんな人がいて、その時自分に出来ることがあるならしてあげるに決まってるじゃん。自分に出来ることがあるのに、見て見ぬフリなんてできない。前本さんを見た時…助けてあげたいって思った」
「…こぅ…すけ…く」
「同情なんかじゃないからね?」
そう言って笑う宏輔君を見たら涙が溢れた。
「うぅ…っく…ふ」
ボロボロと涙を溢す私の頭を、宏輔君は優しく撫でてくれていた。


「…っく…ありがとぅ…」