…何言ってるの、私は。
…本当は助けてもらえて嬉しかったのに。
こんなこと言って。
バカだ…。
私はなんて大バカなんだ。
なんで素直に"ありがとう"って言えないんだろう。
たった五文字なのに。
「……ごめっ…これは…ちがくて…っ」
「……」
泣きそう…。
もうヤダ…。

ふわりと何かに包まれた、と思ったらそこは宏輔君の腕の中だった。
「…っ?!…ぇ、ちょ…っ…何して…!」
「何って…抱き締めてる」
「ゃ…はなして…っ!」
「やーだ」
「なっ…!」
「だって泣いてる子ほっとけないもん。」