「うん、まぁ…」


「んで、どした?
俺に何か用事か?」


晃が上目遣いでそう言った。


やめてー
かっこよすぎるよ。
可愛すぎるよ。

瞳をうるうるさせ、その上上目遣いなんて、反則だよ…


チワワ以上に、うるっとしてるよ。


晃は
私をどこまで虜にさせるつもり?


「ううん
何でもないよ」


「そっか」


「何で?」


「いいや別に」


何だか急に素っ気ない態度になった晃。

何か悪いことしちゃったかな。



「それよりさ、今週の日曜日
桜道に行かないか?」


初めて男の人から誘われた。
何だか胸が異常にドキドキする。


「私のことを誘ってるの?」


「他に誰がいんだよ?
鈴しかいねぇーだろ?」


「うん!!
やったー」


「まだ、桜は咲いてないかもしれないけど
下見しに行こうかなってさ」



「ふ~ん
下見するなんて、どういう気の回し?」



「せっかくなんだし、いい位置で見たいから」



「本当にそれだけ?」



「あ?
いきなり何だよ?」



「べ、別に」



「あー?
別にだと?
鈴こそ素直になれよな」


そう言った晃は、私の肩を二度叩いて
洗面所を出ていった。




だって、照れくさいもん…


好きになっちゃいけないって
分かってるから、余計胸が苦しくなるもん。



桜道って、本当はカップルが行く所だし
カップルじゃない私達が行ったら、不自然かなぁって…



私達だけ仲間外れだから。