「綺麗な髪の毛だな
お姫様みたいに美しい」


私のまだ濡れている髪の毛を見て、晃が思わぬ言葉を発した。


やっぱり晃のネジ、ずれてるんじゃ…


それとは真逆に"お姫様"
その言葉に体が反応して、猫耳ならぬ
頭の上に、一本だけ鋭い電波が立つように
静電気に触れるくらい体がビクッとした。


「髪は女の命って言うでしょ?
だからケアだって、怠らないでやってるもん!!」


「そっか…
なら俺以外の誰かに
鈴の髪の毛に触れて欲しくないな」


晃は、ドライヤーのコンセントを差して
ボソッと私に嘆いた。


"誰かに触れてほしくない"


晃が私を一人占めするみたいに言ったんだ…。



私だって、むやみに触られたくないよ。