玄関に上がるなり、晃は靴を綺麗に並べて整頓している。



「鈴、家に入れてくれてありがとう」


そう言って、真っ白な歯を自慢げに出しながらも、ハニカミを見せてピースサイン。


「どういたしまして」


「じゃあ、おじゃましまーす」


場をわきまえ、礼儀の正しい晃を、私はリビングに通す。


「結構部屋綺麗にしてんだなー」


男の人を部屋に入れたのは、晃が初めて。
誉められるなんて思っても見なかったから、スゴく嬉しいよ。

もっと部屋の掃除頑張っちゃう。

でも…
部屋をジロジロと見られるのは、女のプライドが許さないかも。



「あまりジロジロ見ないでよ!!
あ、ごめん
今、飲み物持ってくるから待ってて」



「じゃあ、ソファーに座ってる」


「うん」



私は、晃をリビングに残して、キッチンに足を出向かせた。


冷蔵庫を開けては、顔を近づけひんやりとした冷却した涼しさが、私の頬をかすめる。


オレンジジュースを取り出して、素早く冷蔵庫を閉めた。

冷蔵庫を開け閉めしたら、電気代が馬鹿にならない。

こう見えて私は、ちゃんと自分なりに節約してます。



「晃お待たせ!!
オレンジジュースでいい?」


「おう、ありがとう!」


私がオレンジジュースの冷え冷えの缶を差し出すと、勢いよく私の頬に当ててきた晃。


「つめたっ
でも気持ちいい」


軽く体の神経が刺激された勢いで
体がぴょんと 飛び跳ねた。

自分でもびっくり。



「夏なんかにやると、最高だよな」


「そうだね」


「そこに突っ立ってないで、鈴も座ったら?
俺の隣空いてるし?」


ポンポンとソファーを優しく叩いている晃。


ここは晃の家じゃないのに、不信に思えないのが不思議。



私達って、どこかで会ったことあるのかな?



初めての人に、こんなに親近感を覚えたことは全くないよ。