「ほら、やっぱり俺達ここに来たことあるんだよ!!鈴」


「…」


「小学生の頃、文化祭で俺達来ただろ?」


「来たっけ…?」


「絶対ここだと思う、多分」



私の記憶はまだ曖昧にしか過ぎない。

だけど…
この屋上から眺めた景色を見ると、うっすらと人影がだんだん湧いてきた。


それは小さい小さい、幼い男の子。


手を伸ばそうとしても、遠ざかってしまう君。




失いたくない何かを、きっと私は頭の片隅にこっそりしまっているんだね…。