「何険相してんの?
俺が女にだらしない男だと思った?
俺は…
鈴に指一本も触れねぇよ」


「わ、私は…
そんなつもりじゃないです」


「どうせ、優しくして欲しいんだろ?
この俺に」


「そんなんじゃありません」


「じゃあ、晃って呼んで」


何かを見透かしたように、晃さんが優しい口調で私に問いかける。
晃さんは占い師?



「あ、あき、晃…」


私は、ゴニョゴニョと口を滑らせながらも、晃って呼んだ。

晃って呼び捨てで呼ぶには、まだ拒絶反応が起きるけど
何とか呼ぶことが出来た。

これからは、頑張って呼び捨てで"晃"って呼ぶことにします。



「晃って呼べたじゃん
よく出来たな」


幼い子を褒め称えるように、私の頭を優しく
ポンポンしてから、くしゃくしゃにした。


晃の指に、私の髪の毛が何本か絡み付いたみたいだけど、
さらさらで良かった。

さらさらだから、指をすり抜けすぐにほどけ落ちるね。


髪の毛はいくらか静電気により、逆毛が立つ。



「ありがとう」



その行為があまりにも嬉しくて…
それからは、晃が変態というイメージも無くなり
晃を家に招き入れた。




私は今、一人暮らしをしている。



両親のいない馴れない土地で、一人暮らし。



唯一の頼りは、両親から送られてくる仕送り。


"元気にしてますか?"とか
ちゃんと食べてる"って…。


毎度のことのように、私の心配。


正直鬱陶しいって思った事があった。


本当の家族なのに…


私を産んでくれたお母さん。

そして、温かみのある大きな手で私を優しく撫でてくれるお父さん。

お父さんの背中があまりにも大きくて、よしかかるのに最適だった。


それから…

尻尾をフリフリし、愛想してって!!
私に構ってちゃんな愛犬の トイプードル ちゃこ。




皆、元気にしてますか___?