「私、忘れてなんかない
止めて、お願いだから止めて」


私の言葉を無視して、晃が長々と話す。


「俺と鈴が初めて出会ったのは…
今から10年前
俺は、転校生だった
初めての事で何も分からなかった俺に、一番最初に話掛けてくれたのは、鈴
それで次第に俺は、鈴に引かれていく」


「私、小学生の頃の記憶がないの
ごめんなさい」


「それもそうだ
俺が鈴の記憶を奪ったのも同然なんだから」


「どういう意味?
私の記憶を奪ったって…」