「おい、入るぞ」


そう言った晃が、無造作に図書室の扉を開ける。


まるで、秘密の場…

そして一人だけの快楽の場に、侵入するかのように…


踞っている私を即見つけるなり、後ろからいきなり抱き締めてきた。


「何で泣いてんだよ?
泣くなって言っただろ?
鈴には、泣かないで笑ってほしいんだ!!」


「そんなの無理…」


「無理なんかじゃねぇよ」


私は晃の想いを振り切って
思いっきり晃の体を突き飛ばした。


「無理なもんは無理…」


「勝手に決めつけてんじゃねぇぞ
鈴に決定権はねぇよ」


「晃にだってない」


「うるせぇ」



やっぱり晃怒ってる。


目に見えない重たい空気が、この図書室内を漂ってるから。