「「「……っ!?」」」



雰囲気をぶち壊すような男の怠そうな声が聞こえて全員がその方向に目を向ける。




「……い、壱哉?」




颯兄は驚いたような声を出す。
颯兄の知り合いかな……?




寝起きなのか目が半分くらいしか開いてないけど、金髪の髪を指で弄っていた。
そして、怠そうに私たちの方へと歩いてきた。





「俺に驚くよりさ、二股の方否定しないの……?」




金髪を少し揺らすように首を傾げる。





「……二股なんかしてねぇーよ。俺は奈々一筋だ」




慌てた様子もなく冷静にそう言う颯兄の傍らで奈々さんは思いっきり赤面していた。
真顔の颯兄と赤面してる奈々さんを見て笑う壱哉さん。




「あー、暑い暑い。そんなの知ってるし。で、この子誰?迷子?」




わざと顔の前で手を仰ぐ壱哉さん。
そして、私の顔に顔を近付けてくる壱哉さん。





「……お前らには会わせたくなかったのになんでいんだよ。行けって行ったのによ……なんでいんだよ?」





「んー?あぁ、それは寝てたら置いてかれた。で、誰?」





イライラしてる颯兄と対象的な壱哉さん。
この人の声聞いてると気抜けそう……。颯兄は項垂れていた。





「……ちけぇーんだよ。俺の妹の真城 瑚琴だ。瑚琴、こいつは鬼麟の副総長の志麻 壱哉(シマ イチヤ)だ」





「……え、颯汰の妹!?全然、似てねぇ……」




踊ろいているのかさっきより少し目を開いた壱哉さんは私の顔を見て必ず言われる言葉を口に出す。
似てないのは、当たり前だよ……私と颯兄は血繋がってるないし。
でも、そう言われるのは地味に傷付く……。




「うっせぇ、余計なお世話だ。てか、ちけぇーって!」




私から壱哉さんを離す颯兄。