「黒豹、警告しといてやるよ。これ以上、俺の妹に関われば俺は容赦しないでお前らを潰す。瑚琴を守るためなら、俺はチームを動かす……いくらでもな」
さっきとは一転した颯兄の雰囲気に場は緊迫して誰かが唾を飲み込む音さえもはっきりと聞こえる程静まり返る。
そして、それ以上に颯兄は堂々として黒豹を睨み付けていた。
これが、暴走族の総長の真城 颯汰なんだ……。
「随分と大切にされてるお姫様なんだね。でも、俺諦めねぇーよ?」
挑発的な笑みを浮かべて颯兄の前にまで来る黒野諒を颯兄はさっきよりも威圧を込めて睨む。
黒野諒の行動に黒豹の人は息を呑んでいた。
「中途半端に瑚琴に近寄んじゃねぇ。瑚琴は、お前の中にいるあの人なんかじゃねぇんだよ。お前が中途半端に瑚琴に近寄るってんなら俺は今すぐにチームを呼びお前らを潰す……瑚琴を苦しめるやつは全員だ。わかったかよ、諒……」
「…………」
颯兄の言葉に悔しそうに黙り込む黒野諒。
黒野諒の中にいる"あの人"って何?
黒野諒と颯兄の関係は……何?
「瑚琴は、俺が守るって誓ったからな」
そう言って優しく微笑んで私の頭を撫でてくれる颯兄。
颯兄は、あのことをちゃんと覚えててくれたんだ……。
暴走族になったのは、私を守ってくれる為……?
颯兄の服の裾を掴むと私を抱きしめる腕の力を強めてくれた。
あの日から、私をずっと守ってくれる大きくて優しくて温かい颯兄の手……。
「「「…………」」」