「総長を嫌がる女がいる……」



「諒がホテルじゃないって……」



「諒がせがまれてねぇーのに、女にキスした」



「瑚琴すげー!!すげーすっよ!!」




こいつらは、どこに感心してんの!!
黒野諒みたいな危険人物から逃げる女なんていっぱいいるよ……多分。
こいつが車呼んだら行き先はホテルみたいなその言い方……ありそうだけど!!




誰が、こんな男にキスなんかせがむか。
絶対、せがまない。
もう、最後は何に感心してんのかすらわかんない。




「ははっ、俺すげー言われよう。まぁ、間違ってねぇけどな。今日は、子猫ちゃんを家に送るから車って言ってんだけど?」




おい、そこ普通怒るだろ、
ここまで言われたら。




「……え、家に返してくれるの!?」




少し遅れて黒野諒を見ると黒野諒は笑いながら確かに上下に頭を振ったのがわかった。
周りの人達はポカーンとした表情をしていた。



「黎乃、住所調べて?」




し、調べて……?
私が言うんじゃないの?
黒野諒がそういった瞬間にポカーンとしていた黎乃さんが我に帰って大好きなパソコンに向き合い出す。




静かな息をする音しか聞こえない部屋にいきなりキーボードを叩く音が聞こえてくる。
早すぎるよ……。




「……早っ……」




「黎乃は勉強は得意な方じゃないけど、パソコンのことだけはすぐに覚えたらしいよ。キーボードの位置は全て頭に入ってるらしいしね」




私のボソッと自然に漏れた声に反応して祥先輩がそう言う。
そうなんだ……。





――ビーっビーっビーっ!!



「黎乃、どうした?」



キーボードが叩く音が止まったと思ったら嫌な音がパソコンから出て部屋を響き渡る。
うふさい……。
音が聞こえてくると同時に黒野諒が黎乃さんに聞く。





「これ」



そう言うとパソコンの画面をみんなに見せて軽く叩く。
そこには嘲笑うかのようにドクロマークが出ていた。



そのマークを見た途端に皆の表情が変わる。