ーそのあと私たちはさっそく課題を進めようと必要な道具を用意した。

「………あ!」

「ん、どうしたの春ちゃん?」

色は決まったけど、情景が頭に思い浮かばない。

「初恋のイメージが、思い浮かばない…。」

初恋を描くと言っても…『実感』しないと描けない私にとっては、まだ初恋がどんなものなのか、どんなイメージなのかも頭に描けない。

「あ!確かに…。じゃあさ、春ちゃんはまずスケッチブックにイメージを描いてから本描きにいきなよ。ちょうど野球部もやってて高橋もいるんだしさ。」

そっか、まずはイメージしてスケッチブックにひたすら描こう。

「あ、画材が足りない。ちょっと教室に足りない画材取りに行ってくるね!」

「わかった、ありがとう美玲ちゃん!」

ニコッと笑って部室を出ていく美玲ちゃん。

「イメージして…描かなきゃっ」

チラッと野球部の方を見ると、休憩中なのか部員たちがわいわいと会話をしている。
あれ?高橋くんがいないな…。


それはさておき、この1面もスケッチブックに描いておきたくて、鞄の中からスケッチブックを取り出そうとする。…が。