ー20分後ー。

「ふぅ、着いた」

もともと体力がない私だけど、いつも以上に体力を使ったような気がする、なぜか。

『カキーン』

「オーライオーライ!!」

グラウンドから野球部の活気溢れる声が聞こえる。



「あ、野球部もやってるんだ…。」

ふと視線をずらすと、なぜかこっちを向いていた高橋くんと目があった。

「っ!!」

とっさに顔をそらす。
なんで、こっち向いてたの!?
恥ずかしくて、私は無意識のうちに走っていた。

さっきの体力切れはなんだったのかと思えるほど速く階段を駆け上り、部室のドアを思いきり開けた。

『ガラガラッ!!』

「わっ!は、春ちゃん!やっときた!待ってたんだよーって…ど、どうしたの?そんなに息切らして」


「た、高橋くんが…こってみてて、目が…目が…!!」

いきなりドアが開いて驚く美玲ちゃんに、いま伝えられる言葉で必死に説明する。

「あー、うん、大体わかった。」

どうどうと私をなだめながら言う美玲ちゃん。
て、ててて天才だこの子は…!!

落ち着きを取り戻したあと、ちゃんとさっきの話を美玲ちゃんに話した。

「そっかぁー!良かったじゃん!!高橋が春ちゃんを見てたなんて」

目を輝かせていう美玲ちゃん。「そんなっ、たまたまかもだし…。」


そう、たまたまこっちを向いたら私がいただけかもだし、考えられることなんてたくさんあるよ。

「謙遜しない!たまには自分のいいように考えなきゃっ」

そうなのかな?じゃあ、そういうことにしておこう。

「ふふ、私より美玲ちゃんの方が熱く語ってるよ」

「そりゃあ熱くなるよ!春ちゃんの幸せは私の幸せでもあるもん!」

美玲ちゃん…。美玲ちゃんみたいな友達がいて良かったと心底思いますっ。


「あ、そうだ!美玲ちゃん、恋の色決まったよ」

描き始める前に、まずこの事をしらせないと。

「本当!?何色になったの!?」

身を乗り出す美玲ちゃん。

「淡いピンクに…金色。初恋の、キラキラした感じを描こうと思うの。」


まだまだ完成には程遠いけど、みんなが共感出来るような絵にしていきたい。

「春ちゃんらしい考えだね。金色なんて、あんまり思い付かないよ」

ほうほうと感嘆の声をもらす美玲ちゃんだけど、この色たちを使おうと思えたのは、美玲ちゃんのおかげでもあるんだからね。

「金色のヒントは、部長さんが教えてくれたの!恋したとき、好きな人はどんな風に見えるかーって言ってくれて」

ほんとに、部長さんには感謝してもしきれないよ…。