ー翌日ー。

「えええぇっ!?!?恋ぃ!?あの男子がダメな春ちゃんがぁぁ!?」

「シーーッ!美玲ちゃん声大きすぎだって!」

高橋くんに初恋をしてしまったことを美玲ちゃんに話すと、案の定この反応をされた。そんなに信じられないみたいな顔しなくてもいいのに…。

「あ、ごめんっ!…で、何故高橋を好きになったのかな?」

ニコッと…いや、ニヤッと話を聞いてくる美玲ちゃん。ちょっとだけ言うの後悔した、とか言えませんよね。

「えぇとね、話すと長くなるんだけど…」

そう言って私は何故、の理由を自分が出来る限り説明した。

「ほぅほぅ、なるほどぉ…つまり、美術室から見えた高橋の真剣な顔にひかれて恋をした。気づけばスケッチブックに高橋の練習姿を描いていた…と。うわぁぁ可愛い春ちゃん///健気///」

手で顔をおおう美玲ちゃん。どれだけテンションが高いんだろう…。

「美玲ちゃん、落ち着いて…美玲ちゃんの世界が出来ちゃってるよ」

はっと我に返り、ごめんと照れる美玲ちゃん。

「で、でも、スケッチブックに高橋くんの姿なんか描いてたら変態だと思われないかな!?変に思われちゃったら…。」

最悪の状況を考えると、今まで何度か話せてたのが、口も聞いてもらえなくなるかもしれない。そ、それだけはなんとしても避けたいところだけど…でもまあ、みられなければいい話。

「ぜーんぜん大丈夫でしょー!私が男子だったら、単純に嬉しいかな。もし誤解されそうになったらその時の素直な気持ちを言えばいいんじゃないかな?」

その時の、素直な気持ちか…。うん、それ、覚えておこう。

「ありがとう、美玲ちゃん。」

美玲ちゃんは全然、といって席に戻る。
もうそろそろチャイムがなるけど…高橋くん、遅刻かな?

『ガラガラッ』

「せぇーふ!間に合ったー!」

「あー、瞬また遅刻ギリギリかよー。わーりー」

「いやいや、間に合ってんだからせーふなの!せーふはせーふ」

「ハハッ、なんじゃそりゃ」

そんな他愛ない会話をしている高橋くんが、いつも以上に輝いて見えた。



恋って、こんな些細なことでもドキドキするんだ。こんなに世界が、変わって見えるんだ。

「好きになるって、…悪くないかも」

刻々と迫っていく放課後に、浮き足立つ心を押さえつけながら授業をうけた。