「た、高橋くん!?!?」

ドア越しに立っていたのは、ユニフォーム姿の高橋くんだった。

「あ、三浦!ちょうど良かった。これ、落としてったから届けに来たんだ」

そういってスケッチブックを差し出す。や、やっぱり落としてたんだ…!

中身が見られてませんように…なむなむ。
そう心に願いながらスケッチブックに手をのばす。

「あのさ、さっき拾うときスケッチブックが開いてたから見ちまったけど…あれって、俺?」

「っ!!!」

スケッチブックの中身はばっちり見られてて、私の心からの願いは届かなかったようで。

高橋くんは怪訝とも思ってない様子で、ただ単に不思議な様子。と、とにかくなにか言わなきゃ…!

『もし誤解されそうになったら、その時の素直な気持ちを言えばいいんじゃないかな?』

美玲ちゃんが言っていたことを思い出す。誤解されても無言のままも嫌だから、言っちゃえ!

「わ、私っ、よく課題が進まないときとか美術室から外を見ていて、たまたま高橋くんが1人で練習に打ち込んでる姿を見て、私もあんな風になりたいって思って、気づいたらスケッチブックに…。」

うぅ…完全に変なやつだよ、私…。これで終わりだぁぁ…!

「じゃあ、課題進んでねえのか?」

「へっ?う、うん…?」