見事呪文は成功して、呼び出したのは人の形をした一人の青年。


黒い髪、血のように紅く鋭い瞳、着ている服は一般の使い魔が着ているようなものではなくかなり高級そうだ。


「はじめまして小さな主人、
私はベルゼブブ・ドレス・トールと申します。
あなたの願いは何ですか?どんな願いでも叶えてさしあげましょう。」


悪魔がゆっくりとお辞儀をするが言葉の中にはどこか棘がある。


「私はミレイス、ミレイス・カルムです。
願いを叶えてくれるというのならどうか、
私に外の世界のことを教えてください。」

「そんな願いで良いのですか?
外など自分で出てしまえば良いものを。」


悪魔が不思議そうに首をかしげると王女は涙を流しながら首を横に振る。


「私は外に出られないのです、そのように呪いをかけられているから…。」

「ふむ…、
良いでしょう、その願い聞き入れました。」

悪魔が手をさしのべ王女がその手を取る。

こうして、契約は成された。