一応、お母さんにも報告はしていたの。
「みんながあたしに意地悪する」
………ってね。
でも、うちのお母さんって気が小さい方でさ、
学校に電話をしてくれたんだけど、案の定上手く丸め込まれちゃったわけ。
しかも丁度この時期、お母さんは仕事の事でかなり悩んでいた。
あたしは小さいなりに考えて、お母さんに言ったの。
「あのね、仲直りしたよ!」
これがあたしの仮面の始まり。
多分、バレていたと思う。
あの時のお母さんは、とても優しく、そして悲しげに微笑んでいたから。
でも、敢えて何も気付いていない振りをしてくれて、頭を撫でてくれた。「貴女が頑張っているんだから、ママも頑張らなきゃね」って言って、また仕事に打ち込み始めた。
お母さんの悪口は沢山聞いてきたし、ぶっちゃけ才能がないって事も知ってたけど、頑張ってるお母さんの姿って大好きだったんだよね。
なんか、さすがお母さんだなって。