でも、最近は長距離のタイムも縮まって来ている。

これならコイツに勝てるのも夢じゃないかもな。

いや、勝ってみせる。
絶対にな。


「おーい。風見。次のタイム測定お前だぞ!」

「うぃーッす!んじゃ、行ってくんな!」

「おう!」

片手を上げ、葵はスタート地点に駆け足。

スタート地点に着くと軽く準備運動。

笛の合図で位置に着く。


“ピーッ!”

ダッと走り出した。



風の抵抗を受け、シャツがボワボワと揺れている。



コーナーで体を内側に傾け、バランスを取ってる。



前より速くなってる。





___ワクワクする。

また葵と勝負したい。


次の勝負はどんなだろう。


そう思うと自然と顔の筋肉が緩む。



____負けない。


どんなに葵が強くなったって
そのまた上に私は行ってみせる。




“ピーッ!”


葵がゴールした。


葵は私みたいに数歩前で止まった。