「青原風架いっきまーす!!」
そう言って駆け出した。
200mトラックを全速力で走る。
青原風架
現在高校3年生。
陸上部所属。
今は部活でタイム測定中。
内容は簡単。
200mトラックを全速力で走る。
それを顧問が測る。
で、それを今やっている。
このタイム測定は、これから始まる地区予選の参考になる。
だから、みんな真剣にやる。
陸部は年度頭に始まる地区予選に向けて強化練習中。
この地区大会で勝てば県大会。
県大会で勝てばインターハイ。
だから、意外とこの時期が一番重要。
__20m。
__10m。
「ゴォォーーーールッ!」
勢いがつきすぎて、数歩前で止まった。
息が上がってる。
ハア、ハアと膝に手をついて肩で息をする。
ゴールした私の元に顧問の松尾走先生が来る。
「青原。お前タイム縮まったぞ。」
ストップウォッチを片手に涼しい顔して走先生は言った。
「まじっすか!?何秒、何秒なんすか!?」
「23秒45だ。お前はどこまで速くなんだよ…」
先生は半分呆れ気味で言った。
でも、嬉しそうに笑う。
「ぅよっしゃーー!」
少し仰け反り、空に向けてガッツポーズ。