キーンコーンカーンコーン、
チャイムの無機質な音が学校中に響き渡る。
それを合図に私は、カバンに教科書類を乱雑に詰め込んだ。
そして昇降口に全力疾走。
急いで靴を履き替える。
足を上げ、折ったかかとを直す。
片足が上がった途端にバランスが取れなくなったもう片方の足で
ケンケンしながら進む。
昇降口の扉に片手をつきバランスを整える。
古い扉は鉄製で出来ている。
左からほんのり鉄の匂い。
扉から話した手が少し茶色くなる。
靴をきちんと履き終え、最後につま先を床にトントンと打ち付ける。
そしてまた走り始める。
階段を一段飛ばしして駆け下りて行く。
柵を挟んで女子たちが楽しそうに笑いあっている。
階段をおりて行く度にタンタンという軽快な音と共に
スカートや髪の毛が踊る。
最後の一段で思いっきり足に力を入れる。
階段から足が離れて高く飛ぶ。
ダンッと音がなり、自分の足が地面についたことがわかった。
その時に土埃が舞って少しむせる。
喉がヒリヒリする。
少ししてまた駆け出す。
校庭の隅にある陸部の部室に向かって直行。
部室に着いてドアノブに手を掛ける。
ゆっくり回してドアを開ける。
ギィーという音が部室内に響く。