「美夕夏も馬鹿だよな。」
そういっている、聖斗の背中にはあたしがいて、その横には葉月がいる。
『馬鹿じゃないし』
葉月が何度睨んだんだろう?ってくらいあたしは、あの葉月の目を見た。
だけど、あたしは次第に怖くなっていった。
今日は聖斗がいたから、よかったけど…いなかったらあたし、きっとこんなんじゃ終わらない。
あたしは、少し痛まなくなったのを、確認すると
『もう大丈夫だから、降ろして』
と言った。
聖斗は「本当か?」と言ってあたしを降ろしてくれた。
そして玄関。
「ThankYou☆荷物持ってきてくれて、向井じゃあな!」
そう言うと、向井葉月は笑顔で「バイバイ」と言った。
そしてあたしに耳打ちをした。
「明日が楽しみだね」
って言って、向井葉月は消えた。
――明日が楽しみだね
その言葉を聞いた瞬間、頭の中で呪文のように、回った。
聖斗と帰っている途中も、ずっとずーっと、向井葉月が言った言葉だけが回っている。
いつも楽しいはずの、聖斗との帰り道が妙に明日を、怖くさせる。