その時は、あたしみたいに辛い思いをしてほしくない。
大好きな人に、先に旅立たれる辛さは若い時に、味わってほしくない。
聖斗もそうだよね?夕聖にだけは味わってほしくないよね…。
――当たり前だよね…
そう思うと、もう暗くなり始めていた。
『夕聖!帰ろう』
夕聖は、聞きわけが上手で、あたしと聖斗にはない個性を持っている。
「うん!」
自慢の息子…だよ。
あたしと、聖斗の自慢の息子だよ。
もう少し大きくなったときには、夕聖にたくさん聖斗の話をするから。
たくさんたくさん…、夕聖にはうざがれるかもしれないけどね。
でも、聖斗は夕聖のパパだから…
きっと夕聖も聖斗を、自慢のパパだよって言ってくれるように、あたしは頑張るからね…