そして夕日が…落ていった。

海は静かに波の音だけを、響かせていて。

「美夕夏…俺、美夕夏が好きだ」

春が急に言い出した。あたしは、驚いて春を見ると、春はあたしの目を見て、

「美夕夏に、好きな人がいるのは分かる。だけど…今の美夕夏は辛そうで見てらんないんだよ。」

春の言葉にあたしは、すごく嬉しかった。
春はあたしを見ていてくれた。
だけど…だけど、あたしはきっと、春を傷つけてしまう。今のあたしだからこそ、春を傷つけてしまいそうなんだ。

『きっと…春を傷つけるよ。あたし…』

春の目を見ながらあたしは言った。

「美夕夏ならいい。その男の事、忘れさせてやる。だから…付き合ってほしい」

春のその時の目は、本物だった。
傷つける可能性の方が高いあたしに、春はいいって。そう言った。

ねぇ?春…。今のあたしは、、逃げるためなのかもしれない。

それなのに、春はそんなあたしを…抱きしめてくれた。

「忘れられなくても、俺はいいから。」

『……うん』

春と出会って間もないあたし達。
でもね…あたし、春がいると安心してるんだ。
今は、曖昧だけど…ちゃんと聖斗を忘れられるように頑張るから。