健side

俺は松本健
今日から高校1年になった

「あー...だりぃな。」
「そう言うなって(笑)」

俺の横で話しているのは
中島隼人

さっき知り合ったばっかなんだけど
なんか気が合った。

しかも同じクラス。


「なぁ、お前ってさ女いんの?」
「俺?いるよん♪中学のときから」
「一途なんだな。」
「まぁなー。お前は?」
「いるわけねーじゃん。」
「まぁ、お前だったらすぐできんだろ?」
「どうだか。」


今日は授業はなく、
レクリエーションみたいな感じだった

キーンコーンカーンコーン──

「あゆな待てよ。じゃあな健!」
「おー。またな!」

くっそ。イチャイチャしやがって(笑)


バイトまで時間あるし
ちょっと休むかな...




「はな...してっ!!」

女の叫び声で起きた
なんだよ。ケンカしてんのか?

となりのクラスか...?

「は...?声聞こえなくなったし...」

大丈夫か?倒れてたりしたら?
んなわけねぇか

ほっとこうとしたけど、
体がとなりのクラスまで動いてた

窓から様子を見る...

あ?何してんだあいつ

完璧嫌がられてんじゃん


「震えてる...」

そう呟いたと同時に俺は扉を開けてた

「俺のに手だすなよ」

今にも倒れそうな女
ガクガクと震えて泣いてる

「あ?誰だよお前」

はぁー。
俺殴り合いとか嫌なんだよね
高校入ったばっかだし...

「逃げんぞ」

そういって女の手を握って逃げた


「ハァハァ...速い...」

やべ。ペース考えずに来ちまったな

「ありがと...」

涙目になりながら
でも笑って感謝してくる女。

怖かったんだろうな

でもなんで助け呼ばなかった?
「脅されてた?」

そう聞いた瞬間...
一気に女の顔から笑顔が消えた


あんま深く聞かねーほうがいいな。


「俺、健。松本健。何かあったら言ってこい」

女の涙は嫌い

だけどコイツは助けてやりたいって
思ったんだ

泣いてるコイツを見て
俺はただ隣に座っていた

「もぅ。大丈夫。」

「じゃ、帰るか...」

俺はそう言って立ち上がった

でも女はなかなか立とうとしない...

力がでねーのか。

「何してんだよ...ほら」

手をかそうとして腕を掴むと

すごい速さで振りほどかれた

そのあと女は泣きながら走って
俺の前からいなくなった


「次会ったら覚えとけよ...」

つかまず名前。聞いてねーや。
「カバン...明日探すか...」