「いいけど…」



ハルがちらっとこちらを見てくる。そんな顔で見ないで…
きゅうっと胸の中が痛くなる。




涙がこぼれそうなのを堪える。
大丈夫。何度もこんなことあったじゃない。ただ今日は告白する子が自分の後輩なだけで。




「行ってらっしゃい…」




2人の後ろ姿が遠ざかるのをみて、涙が一筋零れ落ちた。




涙を拭って、美奈の所に行く。




「おはよー」




「おはよう…」




「告白、されてたね…」



「うん…」



美奈は話の核心を強くつくことがある。
それが美奈の強さで、優しさ。




ハルがモテだしたのは、秋頃から。
まあ顔も悪くないし、成績もいいし、運動もできる。



幼馴染としては誇らしいことかもしれないけど、好きな人を思う心は複雑だ。



「あの子、バドの後輩じゃなかったっけ??」



「そうだよ…まきちゃん、私とよくペア組んでたの…」



まきちゃんは、牧野という名前からつけたあだ名。



「可愛くて、おっちょこちょいな子で、ハルの事好きだって知らなかった…」




もしかしたらオッケーするのかな?
ハルはまきちゃんのこと可愛がってた。




もしかしたら。もしかしたら。もしかしたら…