だけど、頼れる人がいない。



桐谷さんがいるけど、明らかに私より身長が低いし、華奢だ。



他の女子でも取り立てて仲のいいこはいない。



どうしよう。



ぐるぐる頭の中ぎまわって、どうしていいか分からない。




…ハル…




ほら、っていう声は、




「ハル?」




違う。夏木君だ。夏木君はしゃがんでて、私をおんぶしようとしてくれてる。




「ハルってだれだよ。早くのれ」



「うん」



夏木君の背中に乗ってしがみつく。



ハルの匂いは、しない。
だけど、すごく安心するあたたかさがある。



「なんかごめんね。」



「別に謝るようなことしてねぇじゃん」




夏木君。あなたってすごい優しいんだね。



初めて知ったよ。夏木君は意地悪そうにみえて、誰よりも優しい人かもしれない。