「ハルっ‼︎」




「おはよー」




眠そうな声で返すハルの寝癖を叩く。



「晴人君。おはよう。いつもごめんね〜」




さっきとはうってかわってのお母さんの優しげな声にうんざりする。




「架澄のことよろしくね」



お母さんはそれだけ言うと自転車にまたがって駅へ向かった。




「俺達も行くか」



「ん。負けたらジュース奢りね」



私達は一斉に自転車にまたがり学校へ急いだ。



昨日、一昨日と私がジュースを奢らされている。部活の時の走りはそんなに差がないのに悔しい。



だけどそれが、私の楽しみであったりする。




思いっきり自転車をこいで坂道を下る。ぬるい風には腹がたつけど心地いい。




自転車で全力疾走すれば学校までは10分弱で着く。ふたりで追いついたり抜かされたりしながら学校へ急ぐ。




途中ハルがこけそうになったから笑ってやった。今日の結果は



「私の勝ちっ‼︎今日はハル遅かった‼︎」



始業時間までたっぷり時間を残して学校に行く。皆が皆いなくても、美奈はいるはずだ。




「みな〜‼︎おはよ〜‼︎」



「おはよう…」



美奈は英語の教科書を読みながら寝そうになっている。