ハルがいなくても、時間は過ぎた。



ハルがいないだけで、季節はいつも通り過ぎた。




春がきて、夏ももうすぐくる。





高校の第一志望を決めなくちゃいけなくなって、西京寺を希望するかどうかも決めなきゃならなくなった。




親は中2のときに西京寺に行きたいと言った私のことをまだ信じてる。



私は、遠方にある学校に憧れるようになっていた。
家からは1時間30分かかるけど、うちの学校からは毎年合格する子が出ないような名門で、西京寺よりも賢い。




何よりも、誰も私のことを知らなさそうだった。
大学実績もいいし、親も文句言わなさそうなところだ。
内申だって稼いでるし、ハルが死んでから意味もなく勉強したから成績も上がった。




「お母さん、私、西京寺やめる」




幸い、両親は認めてくれたし、私はその学校を考えることができた。




ハルがいなくても、やっぱり秋は来たし、冬も来た。初雪もあの時みたいに降って、私を泣かせた。




志望校に合格して、桜の季節がやって来た。