『あの子は、自分が性同一性障害やっていう事、知ってるん?』



『うん。薄々気付いてるみたい。
お母さんとお父さんは、言いにくくてまだ言ってないみたいやけど。』



『そっか‥。』



あたしは、本条を腕の中に包んだ。


いつも頼れてあたしが凹んだ時に支えてくれる本条が、逆に愛しく見えた。



『しつこいと思うけど、あたしは本条が嫌になる事、何にも言えへんから、言ってみて。』