手術中の電気が消え、しばらくすると中から人が出てきた。


「すみません、家族の方にお話があるのですが…」


それを聞いた私は柚志亜の方を見た。


柚志亜は何かを感じとったのか、ただ黙って頷くだけだったが、私にとってはそれだけでもありがたかった。


「私がその方の家族の方です…。お父様…父は無事なんでしょうか?」


「…貴方のお父さんは命に別状はありません。しかし…」少し言いづらそうに言葉を濁らせた。


そんな様子をみて私は、きっと良くないことがあるのだろうと察した。


けれど、私は平気な顔をして「私は大丈夫なので続けてください。」とだけ言うと、医者の方はまだ言いにくそうな顔をしながら、真実を言った。


「残念ながら…貴方のお父さんはもう長くないでしょう。ガンの進行が前よりも確実に早くなっているのです。」