家に帰ると、いつもより険しい顔をしたお父さんがいた。
その表情から何かあったんだろうと私は思った。だから訪ねてみることにした。
「お父さん、難しい顔してどうしたの?」
「おぉ…愛姫か…驚かないで聞いてくれるかい?」
私は黙って頷いた。
「実はね、お母さんが倒れたらしいんだ。
命に別条はないものの、まだ意識が戻らないらしい…。」
「えっ…」
「後もう一つだけ聞いてくれ、愛姫。
実は、お父さん自身ももう長くないかもしれないんだ。」
「…それって…どういう…」
「実は結構前からガンにかかっていたんだ。」
私は驚きのあまり、目の前が真っ白になった。