「お前、遅い」
「待ってよ、まだ髪が……」
慌ただしく支度をするあたし達。
「何で学校までお前と行かなきゃなんねえんだよ」
「……あ、急がなきゃ。
はい、はい。鍵締めるから出て」
いいじゃない、一緒に学校に行くくらい。
そう思って慧也と家を出る。
学部は違ったけど、まさかまさかの同じ大学。
あたしは看護学部で
あいつは工学部。
工学部はほとんど男の人ばっかだけど、同じキャンパスの女子から絶対モテちゃうだろうな。
なんだか少し不安。
「何、具合でも悪いのか?」
少しうつむいていると、声を掛けられる。
口が悪いくせに、急に優しくなるのは
……ずるいよ。