「慧也おはよう、大丈夫?」
翌朝。そう挨拶をすれば
「馴れ馴れしく名前呼んでんじゃねーよ。マジ吐き気する、キモ」
怖いくらいに今まで通りの君でした。
「は?だって昨日、慧也が自分で言ったんだよ?名前で呼べって」
「知らねえ、つーかお前黙れ」
やっぱりおかしいと思ったんだ。
こんな落ちがあったってわけね。
「あたしのこと美優って呼んだくせに」
「は?いい加減なこと言ってっとぶっ殺す」
そういう彼の顔は少しだけ赤くなっていてただの照れ隠しのようだった。
「山下、悪かったな、世話になった」
素直で甘い、可愛い彼も
不器用で冷たい、意地悪な彼も
あたしは、好き。