慧也にも、あたしと似た経験があるのかもしれない。


だって、あたしの話を聞いて

ただ同情したり哀れんだりするのではなくて

親身になって聞いてくれてる。



それだけで、心は軽くなっているってことを貴方は知らないでしょ?


「……ありがと、ね」



意地悪だったり、そっけなかったり

でも本当は優しくて。



今や、過去も話せる大切な人。



「……おい、顔赤いけど。

何照れてんの?寝ろ」




「照れてない!

話したから熱上がっちゃっただけ」






本当は慧也の優しさに照れたのだけど

恥ずかしいから言えない。



赤い顔を隠すために掛け布団を被る。



そしてシトラスの香りに包まれれば

安心して眠りにつけた。