「おい、いい加減早くしろ」


悪魔の声が聞こえて気づく。


「……ごめん、待ってください」


全く、アホかあたしは。


人混みよりも怖い人が目の前にいるではないか。



そう思って、素早く駆け寄る。



すると、



「人混み嫌なら一言いえよ。そしたら朝のラッシュは控えてやったのに。

……ったく、ほらこっちこいよ」




手首を掴まれ、距離はグッと縮まる。



「……」

「おい、何黙ってるんだよ」





……近い!!近いんです。



と、とにかく近いんです!!!