【宇海先生視点】
「…………失礼しますっ!!」
顔を赤くさせた女子生徒が逃げた
担任としては止めた方がよかったかもしれない。だが、少しあれは……
まぁとりあえず、秋月は後で迎に行くか
「さぁお前ら、さっきのことは忘れて自己紹介に戻るぞ!!次は天笠」
次の天笠は秋月の胸を揉んだ女子生徒だ
「はい!天笠美雨です!!雑食です。可愛い女の子大好きっ!よろしくねー!」
雑食……?
「天笠、雑食というのはなんだ?なんでも食べれるということか?」
「んー少し違う。私的な意味としてはBL(♂×♂)でもGL(♀×♀)でもNL(♂×♀)でも美味しくいただけちゃいます!!!ってこと。意味がわからない人はGoogleで検索検索ぅ!!」
……濃いな。1人目と2人目が濃すぎて後の奴らが少し薄く見えた
いや、1人だけ変な奴がいた
大橋陽菜。この生徒は俺がクラスに入ってきた時から、なんか、見つめてくる。それも全身を舐め回すように
でも、なぜかその視線が嫌じゃない
心のどこかでこの女子生徒に見つめられることを喜んでいる気さえする
確かに大橋は美人だ。だがそれだけでこんなに……ドキドキするか?
俺は、そのことが少し怖かった
*・*・*
「どこ行ったんだあいつは……」
結局、秋月はHRが終わっても教室に戻って来なかった。
なので俺は探しに来ているのだが、なかなか見つからない
「おい、宇海先生。どうしたんだ?」
後ろから声をかけられる
振り返るとオレンジ色の髪色をした男子生徒が立っていたけど
「ああ、土田か。いや、ちょっと生徒を探していてな……ここらで女子生徒を見なかったか?」
「女子生徒は見てないが、実習棟の空き教室から声が聞こえた気がする」
「そうか、さんきゅ。そこに行ってみる」
「待て、俺も行く。少しそっちの方に用があるしな」
「わかった」
俺は土田と一緒に実習棟へと向うこととなった
「なぁ土田」
「なんだ?」
「……お前、そろそろ敬語使えよ。生徒だろ?」
「ああ、そんなことか」
「そんなことって……はぁ」
土田は3年で生徒会長をやっている。そのせいでこいつとは顔を合わせることが多い
しかし、こいつには当初から敬語なんて使われたことが無い
一時は、俺は生徒になめられているのかと落ち込んだものだ
まぁ、こいつが敬語を使わないのは俺だけじゃなくほかの先生にも同様だったからさほど気にしなくなったが
ふいに土田が立ち止まる
「この教室か?」
「ああ」
土田が頷くのを確認して、ドアを開けようとしたその時、
「ぎゃーーーー!!???」
誰かの悲鳴と、パチンと乾いた音が部屋から聞こえたのだった