「なんだお前、俺の邪魔をするのか」
巨人がそう言ってアクスから手を離したことで、アクスはだんだんと気が付き始める。これが紛れもない現実であることに。
アクスはかろうじて首を持ち上げ目をこらしたが、涙で霞む視界ではぼんやりと人影を確認することしかできない。
「食べるなら、私を食べるのが筋ではないですか?」
「リュー…!? 駄目だ…!」
ほっそりとした人影の後ろから、背の高い人影が現れる。それに構わずぴんと糸が張ったようなリュティアの声が続ける。
「私は、あなたたち四魔月将が血眼になって捜している――」
「リュー!!」
張り詰めた緊張感。アクスは青ざめる。アクスのまわらない頭でもこれが現実だった場合の大変さがわかる。
「〈聖(リル)〉――――」
「ゲッッッッッッッッッップ」
リュティアのセリフを、盛大なおくび―すなわちげっぷ―の音が遮った。
巨人はのっそりとした動きで腹を押さえると、ひとりごちた。
「さすがに今日は食い過ぎた…もう、食えない」
そうして、巨人はどしどしと足音を響かせ去っていった…。
アクスは倒れている場合ではなかった。
腹にありったけの力をこめると彼は上体を起こすことができた。
駆け寄ってくる足音が聞こえる。アクスが涙をぬぐうと、はっきりとした視界に懐かしい二人の姿が飛び込んできた。
それは紛れもなく、リュティアと、カイであった。
巨人がそう言ってアクスから手を離したことで、アクスはだんだんと気が付き始める。これが紛れもない現実であることに。
アクスはかろうじて首を持ち上げ目をこらしたが、涙で霞む視界ではぼんやりと人影を確認することしかできない。
「食べるなら、私を食べるのが筋ではないですか?」
「リュー…!? 駄目だ…!」
ほっそりとした人影の後ろから、背の高い人影が現れる。それに構わずぴんと糸が張ったようなリュティアの声が続ける。
「私は、あなたたち四魔月将が血眼になって捜している――」
「リュー!!」
張り詰めた緊張感。アクスは青ざめる。アクスのまわらない頭でもこれが現実だった場合の大変さがわかる。
「〈聖(リル)〉――――」
「ゲッッッッッッッッッップ」
リュティアのセリフを、盛大なおくび―すなわちげっぷ―の音が遮った。
巨人はのっそりとした動きで腹を押さえると、ひとりごちた。
「さすがに今日は食い過ぎた…もう、食えない」
そうして、巨人はどしどしと足音を響かせ去っていった…。
アクスは倒れている場合ではなかった。
腹にありったけの力をこめると彼は上体を起こすことができた。
駆け寄ってくる足音が聞こえる。アクスが涙をぬぐうと、はっきりとした視界に懐かしい二人の姿が飛び込んできた。
それは紛れもなく、リュティアと、カイであった。