フューリィが見晴台と呼ぶその場所は、村近くの小さな山の中腹にあった。

眼下に広がる緑深き森の合間に、きらめく湖が階段状に連なる様が一望できる。

金と碧に輝く深碧の湖も見はるかすことができ、パールはそこから目が離せなくなった。あそこにセラフィムがいる…。

「ここについて教えるのは君でまだ二番目だよ、セラフィム様の次!」

倒木のベンチに腰掛けながら、フューリィが笑った。その屈託のない笑顔がパールの目に染みる。

その笑顔が曇るのを見たくない…。いやもう決めたことだ。言おうと思った。だが…

「セラフィム…について、教えてくれない? なんでもいいから」

パールの口から飛び出したのはそんな質問だった。

パールは自分がここまできてまた逃げたことに気がつき苦笑する。その苦笑を単なる笑顔ととったのか、セラフィムの名に気を取られて見ていなかったのか、フューリィは単純ににこりと笑み返して頷いた。

「いいよ。何から話そうかな。まずは僕のことから話さなくっちゃ」

フューリィは語り始めた。自分の過去を。