木陰から金茶の頭が一瞬のぞき、慌てた様子ですぐに引っ込む。ファベルジェである。
「おい、赤毛のおっさん、どうするつもりなんだよ」
「どうもこうもない」
ファベルジェの不安げな声を背に受けても、アクスの態度は堂々たるものだ。
執念で飲み比べに勝ったファベルジェだったが―アクスはわざと負けてくれたようにも見えた―、実際この男がどうやって作戦を止めるつもりなのかわかりかねるまま、ここ―王城裏に広がる森まで来てしまった。
盗賊たちがアジトにしている洞窟は目の前で、洞窟前には見張りが二十人は立っているのが見える。
彼らは盗賊ながら統率のとれた無駄のない動きを見せていたし、洞窟と言っても入口はかなりの広さがあり、中も相当の広さがあることも考えると、騎士団が攻めあぐねるのも頷ける。
「名前は“黒鷲の盗賊団”…全部で100人だったな」
「そうだけど…」
「では、ちょっくら行ってくるか」
「え、ちょっと、おっさんっ!?」
アクスが何のためらいもなく堂々と見張りの前に飛び出したので、ファベルジェは度肝を抜かれた。
当然何か作戦があるものと思っていたのだ。が、次の瞬間繰り広げられた光景には度肝を抜かれるを通り越して唖然となった。
襲いかかる白刃、閃く銀の軌跡、噴き出す血飛沫。
二十人、一斉に襲いかかって来た見張りの盗賊たちを、アクスは手にした斧ひとつでばったばったと倒していくではないか。
その動きは滑らかで美しく、紛れもなく歴戦の勇者のそれであった。
“赤い鋼”――ファベルジェの脳裏を勇ましい渾名が駆け巡る。まさしく彼は赤い鋼、エルラシディア一の勇者であった。
あっという間に二十人の見張りが血の海に倒れた。しかもアクスは傷らしい傷を負っていない。
―つ、つぇぇ…!
「おい、赤毛のおっさん、どうするつもりなんだよ」
「どうもこうもない」
ファベルジェの不安げな声を背に受けても、アクスの態度は堂々たるものだ。
執念で飲み比べに勝ったファベルジェだったが―アクスはわざと負けてくれたようにも見えた―、実際この男がどうやって作戦を止めるつもりなのかわかりかねるまま、ここ―王城裏に広がる森まで来てしまった。
盗賊たちがアジトにしている洞窟は目の前で、洞窟前には見張りが二十人は立っているのが見える。
彼らは盗賊ながら統率のとれた無駄のない動きを見せていたし、洞窟と言っても入口はかなりの広さがあり、中も相当の広さがあることも考えると、騎士団が攻めあぐねるのも頷ける。
「名前は“黒鷲の盗賊団”…全部で100人だったな」
「そうだけど…」
「では、ちょっくら行ってくるか」
「え、ちょっと、おっさんっ!?」
アクスが何のためらいもなく堂々と見張りの前に飛び出したので、ファベルジェは度肝を抜かれた。
当然何か作戦があるものと思っていたのだ。が、次の瞬間繰り広げられた光景には度肝を抜かれるを通り越して唖然となった。
襲いかかる白刃、閃く銀の軌跡、噴き出す血飛沫。
二十人、一斉に襲いかかって来た見張りの盗賊たちを、アクスは手にした斧ひとつでばったばったと倒していくではないか。
その動きは滑らかで美しく、紛れもなく歴戦の勇者のそれであった。
“赤い鋼”――ファベルジェの脳裏を勇ましい渾名が駆け巡る。まさしく彼は赤い鋼、エルラシディア一の勇者であった。
あっという間に二十人の見張りが血の海に倒れた。しかもアクスは傷らしい傷を負っていない。
―つ、つぇぇ…!