今日も寒いなと、教室を移動しながら手を擦り合わせてると、何故か隣にいた朝比奈が、



「カイロやるよ。朝は寒かったけどもう教室は暖房付いてるしいらねぇし」


「まじで?ありがと!」


「寒がりのくせにカイロぐらい持ってこいよ」


「…そーっすね」



些細なことで祐真が思い浮かんでくる。
あたしが寒そうにしてるとたまにカイロをくれた祐真。


「早く冬終わってくんねぇかな…バイク走らせてる時めちゃくちゃ寒いし」


学校では、いつもの意地悪なのか優しいのか良く分からない朝比奈。だけどこれがバイトのタイムカードを切った瞬間から豹変する。


仕事モードになるのだ。



あたしと一緒に来たのにあたしよりも先にスタスタと現場に入っていって、早速洗車なんかしてた。早いなぁ。