「…お疲れさん。送ってくから乗れ」
さっきとは違った少し柔らかい表情で、朝比奈がそう言った。
何その変わりよう。朝比奈のくせにちょっとドキッとしてしまったし。
「…ありがとう」
すぐ近くの駐車場に停めてあったらしい朝比奈のバイクの後ろに乗って、家まで送ってもらった。
朝比奈の腰に手を回しながら、思い浮かんだのは祐真のことで。
祐真とは違った背中にドキドキした。
そして祐真が恋しくなって悲しくなった。
「じゃ、おつかれ。また明日な」
あたしの頭からメットを外してそう言った朝比奈に、「ありがとねっ、また明日」と手を振った。