「はじめまして、伊東さん。
俺は副長の土方歳三です。
ようこそ、新撰組へ」
副長が笑顔を作り、一歩前へ出る。
「あなたが土方さんですか。
近藤さんから話を聞いて、早くお会いしたいと思っていました」
伊東さんは優しげな笑顔を副長に向ける。
「長旅お疲れでしょう。
皆さんの宿所はあちらの離れになります」
副長の目から火花が散る前に、沖田がさっと前に出た。
「きみは?」
「一番隊隊長、沖田総司と申します」
総司が軽く頭を下げる。
すると、伊東さんの頬がぽっと染まったような気がした。
えっ、なに?
「きみが沖田くんか……!話には聞いていたけれど、本当に美しい若者ですね」
「は?」
「藤堂くんも可愛いけれど、きみも素敵です。背が高いのもいい」
「…………」
頭をなでられそうになり、総司は青ざめたような顔でささっと土方副長の後ろに隠れた。
「な、なんだよ総司」
副長が総司を振り返ると、伊東さんがうっとりした目でひとこと。
「嗚呼、そうして二人で並んでいると、ますます素敵。
このまま絵にしたいくらいです」