「皆、元気だったか?」
局長が笑顔で屯所の門をくぐる。
出迎えた隊士たちで、門の前は込み合っていた。
他の幹部や山南先生もいる。
あたしは目立たないように、その一番後ろにいた。もちろん、男装で。
「近藤さん、無事で何より」
「先生、お帰りなさい」
土方副長と総司が現れると、隊士たちがさっと道を開ける。
「おお、トシ!総司!変わりないか?」
局長は二人を両脇に抱えるように抱きしめる。
二人は恥ずかしがりながら、なんとなく嬉しそうな顔をしてる。
ほんと、気持ち悪いくらい仲がいいんだから。
「皆に紹介するよ。
この度入隊してくれることになった、伊東甲子太郎さんだ」
上洛するにあたり、甲子太郎と名を改めた伊東さん。
副長や総司、周りにいた幹部たちが緊張した面もちで、門の方へ向き直る。
そこに、局長から少し遅れてきた伊東さんとその仲間が現れた。