総司がからかったように言うと、土方副長はみるみるうちに真っ赤になってしまった。
「ば、てめえ何言ってやがる」
「図星ですか……でも顔だけは、見てみないとわかりませんよ」
伊東さんは北辰一刀流免許皆伝だけど、副長は天然理心流目録ももらってない。
昔、遊学をして色々なことを学び、博識だという伊東さんに比べ、
副長は薬の行商をしていて、学問というものをがっつり学んだことはない。
でも顔だけなら、副長は役者のように整っている。
島原の遊女から恋文が毎日山のように届くほどだ。
「うっせえな!顔だけってなんだよ、顔だけって!」
本当に図星をつかれたような副長は、目じりをつりあげてこちらをにらんだ。
そうね、伊東さんが自分より局長と親しくなっちゃったら、土方副長としては面白くないよね。