「朱莉と花火見たくてここにきたんだよ!」

未月はそう言うとぷいっとそっぽを向いた。
そんな未月がなんだかかわいくて、あたしはぷっと吹き出した。

「なんだよ!笑ってんじゃねーよ!」

「しょーがないから、見てやるか」

あたしはベランダに戻って、未月の隣に並んだ。
花火は、キラキラダイアモンドみたいに輝いて見えた。
そんなキラキラが、未月を照らして未月が眩しく見える。

(黙ってれば完璧な王子様なのにな…)

そう思った。

「何見てんだよ」

「別にぃ〜…」

「言えよ!」

「なんでもないってば」

「言わねーとキスするぞ」

「…」

あたしは黙った。

「…いいんだな?」

あたしは返事をしなかった。
すぐに未月の顔が近づいてきた。
あたしは初めて自然に目を閉じた。
未月はいつもみたいに強引じゃなく、優しく唇を重ねた。

こうして校外学習は幕を閉じた。