そんなこんなで校外学習最後の夜。
杏菜ちゃんはそわそわしていた。

「なんかあるの?」

「朱莉ちゃん知らないんですか?これからビーチで早く花火が打ち上げられるんですわよ」

「へぇー!」

「それを、漣様と見に行く約束ですの」

「すごいじゃん!頑張ってねっ」

「…はい!朱莉ちゃんはどうなさいますの?やはり、未月様と?」

「そんな約束してないよ、あたしは。…形だけだって言ったじゃない」

あたしがそう言うと、杏菜ちゃんはちょっとだけ申し訳なさそうにした。

「あたしの分までラブラブしてきてね!」

「らっ…‼︎‼︎」

杏菜ちゃんは顔を赤くしながら山神くんの元へ向かった。

「あたしは寂しくベランダから花火でも見るか!」

とベランダに出ると、ビーチにはカップルがいっぱいだった。