「はいっ!どーぞ」

その男の子はテーブルにそれを置いてニコッと笑った。

「ありがとう…」

「俺、隣のクラスの山神漣(やまがみれん)!」

「あ、あたしは…」

「桜村朱莉さんでしょ?未月がお気に入りの!」

あたしが自分の名前を名乗る前に山神くんにそう言われた。

「お気に入りだなんてそんなことあり得ないですっ!」

あたしがムキになって答えると山神くんは笑った。

「あ、違った?ごめんごめん」

確か、山神くんも未月と負けず劣らず人気があったはず。
それに、山神くんもセレブ。
だけど人懐っこくて話しやすくて、それにこんなふうに話してくれる人がいなかったから嬉しかった。

「あー!未月がうらやましいな!」

「え?」

「朱莉ちゃんと同部屋で」

「そんなっ…!」

言われ慣れてないことを言われて、顔が真っ赤になる。